PC-98でDVD再生を行うために
  
はじめに

DVDのソフトウェア再生は非常にCPUパワーを必要とします
別にハードウェアエンコーダを用いる場合は問題ありませんが、ソフトウェア再生しようとする場合、高いスペックが必要とされます。
DVDとはDigitalVideoDisc(デジタルビデオディスク)の略。
DVDにはMpegの第二世代規格Mpeg2が採用されており、高い画像圧縮率を維持したまま動画の圧縮された音声の展開を行うのでマシンにかかる負担も大きなものとなります。
また、記録されている解像度や、時間単位の表示画像数(フレームレート)によって、負荷も上下します。
もちろん解像度が高いほど再生が困難となり、フレームレートが高いほど高い処理性能が要求されます。
1枚1枚の画像を「コマ」と呼び、処理が間に合わない場合、コマを一つ飛ばして次のコマを再生しようとします。
これを「コマ飛び」或いは「コマ落ち」と呼びます。
重い動画データ(情報量のの大きいデータ)を再生する場合、マシンのスペックが十分でなかったり、最適でなかったりすると頻繁に「コマ落ち」が発生します。
「コマ落ち」しないで、スムーズにDVDを再生するには、どの程度のスペックが必要となるのでしょうか。
DVD再生を行うにあたり、強化しておかなければならない項目には最低、次のような点があります。

 ・グラフィクス表示速度強化
 ・CPUの処理速度強化
 ・DVDドライブへのアクセス速度強化
 ・マシン全体に対する負荷の軽減

これらは、ソフトウェアDVD再生を行う上で、全て重要です。
このうちどれ一つも無視することはできません。
まずグラフィクスの強化には市販のグラフィクスアクセラレータ(ビデオカード)を使用することになります。
PC-98で使用できるカードに関しては以下の項をご覧下さい。
98強化計画 ビデオカードページはこちら

本サイトでは、IO-DATA社製 GA-SV432/PCI または GA-S2K32/PCI をお勧めしています。
これらのカードにはDVD再生支援機能としてMCS3機能(S3TC機能)が実装されています。
この機能はモーションコンペセーション、「動き補正機能」とも呼ばれ、DVD等、ムービー再生などのソフトを実行する上でCPUへの負荷を大幅に軽減させる事ができるものです。
DVDの様なムービーの場合、表計算などと違って速ければ速く再生できたほうが良いという訳ではありません。
CDと同じで録音(録画)された時と同じ速度で再生される必要があります。このタイミングをとる作業も実は大変なCPU負荷が必要とされます。
MCS3にはメトロノームにような働きをする同期機能も含まれているため、CPUの動作周波数にして50〜100MHz程度分の速度を軽減させる事ができるようになっています。
これらのビデオカードを使用する際にはPCIモードでMCS3機能に対応しているプレーヤと組み合わせて使用する必要があります。
また、MCを使用しない場合はGA-VDB16/PCIとの組み合わせでも、ほぼ同じ水準での動作が期待できます。
MCS3等の動画補完機能についてはこちらをご覧下さい。

CPUの処理速度向上も非常に重要な課題です。
何しろ1秒間に何枚もの画像データ、それも非常に圧縮率の高い画像を展開する必要があるため、CPUに要求される性能も非常に大きなものとなるためです。
快適な再生を実現したい場合は、最低でもK6-III 400MHz以上、K6-2の場合は500MHz以上が必要となる
でしょう。
理想的な環境としてはK6-III E+500MHz以上の環境がベストです。
K6-III E+550(オーバークロック600MHz)を実現するには、こちらをご覧下さい

次にDVDドライブへのアクセス速度の軽減ですが、DMAに対応したインターフェイスを使用しましょう。
また転送速度に関しては66MBytes/Sec以上の速度が実現できていれば問題ありません。
本サイトではIO-DATA社製UIDE-66の使用を推奨していますが、CPU負荷の軽減という意味で、SCSI接続やマルチコネクトインターフェイス等に採用されているSDAT接続でも問題ないと思われます。
特にバリュースター以降のPC-98や9821Xt、Xvの場合はSCSI接続の方が快適なようです。
DVDドライブの読み出し速度について、単にDVD再生する場合には大きな意味を持ちません。
DVDビデオ作品は、常に標準速で読み込まれます。

最後にマシン全体の負荷の軽減ですが、マシン全体の負荷を軽減するためには次のような方法があります。

・ネットワークに接続しない
・メモリへのアクセス速度を最適化する
・関係の無いタスクは全て終了する
 マイクロソフトメッセンジャー等も終了し、ディスプレイエフェクトも常駐しないように設定します。
 マルチメディアのプロパティにて、ボリウムコントロールが常駐しないようにします。
 キーボードのプロパティにて、タスクバーへの状態表示をカットします。
・電源は「常にON」の設定。スクリーンセーバ等も全て「なし」にします。

これら全てを満たすコンピュータの場合、スムーズにDVD再生が行われると思われます。
ただし、インストールされているソフトウェア環境や、接続されているデバイスによっては相性問題などにより、上記環境でも激しくコマ落ちしたり、適正な再生が行われない場合があります。
そういった場合には、問題があると思われるデバイスを一度全て外してから実験されることをお勧めしておきます。
DVD再生率は主にCPUパワーがどれだけ有効かという点と、チップセット等の性能による部分が大きいのですが、マザーボードの個体差による部分も無視できません。

ビデオカードのパフォーマンスを細かく設定できるアイオーデータ社製「ディスプレイエフェクト」のドライバ設定に関する詳細は
こちらに掲載されています。「各項目の意味がわからない」、「このチェックをはずしたらどうなるの?」という疑問をお持ちの方は是非ご覧下さい。


DVDの取り扱いについて

DVDはCD-ROMの約7倍の記憶容積を持っています。
つまり、その密度も約7倍。
読み出しにはCD-ROMよりも遥かに高い精度が要求されることになります。
CD-ROMの場合、多少の傷がついていても、再読み込みの時間もほとんどかからず、よほど安定した再生が可能ですがDVDの場合は些細なキズでも大変な障害になります。
ちょっとした指紋がついているだけでコマ落ちしてしまったり、正常なデータの展開が行えないなどの障害を生む事もあります。
特にソフトウェア再生の場合、CPUにかかる負荷は絶大で、ほぼ実時間で展開、表示を行わなければならない為、データのリロードはコマ落ちの大きな原因となります。
DVDソフトを管理する際にはCD-ROM以上に細心の注意を払わなければなりません。
どうしても同じ場所でコマ落ちが発生するソフトがあった場合、そのほとんどの原因はディスク表面のキズや汚れにあります。
DVDを磨くには専用のクリーナーを利用するのが一番安全ですが、どうしても取れない汚れに対しては中性洗剤を水で薄め、界面活性剤を10%ほど加えたものを柔らかな布に少量塗布し、円の中心から外側に向けてディスクを回しながら順に拭いていくと良いです。

また、DVDドライブのレンズの汚れに関しては無水エタノールを利用して綿棒で優しく拭くようにします。ここで注意しなければならないのは必ず「無水」のエタノール(アルコール)を使用するという点です。
オーディオのヘッドも同様ですが、電子機器の清掃には導電性が無く、揮発性の高い薬品を使用する必要があります。

  
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