MCS3(MC機能)とは
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MCとはモーションコンペセーションの略。
モーションコンペセーションとは動き補正とか、動画補完といった意味があります。
左の図は、MC機能の概略を示したものです。
動画とは、複数の少しずつ異なる画像を連続的に表示させることで動きを表現しています。これら一つ一つの画像を「コマ」と呼びますが、1秒間に何枚もの画像を表示する必要がある為、非常にCPUパワーを必要とし、処理が間に合わずに表示されなかった画像は飛ばして次の画像を表示しようとします。
この現象をコマ落ちと呼びます。
しかし、この修正方法だと、動画像の再生枚数が標準の場合(コマ落ちしない場合)と異なる為、トータル再生時間に誤差が生じます。再生時間にズレが生じてしまっては具合が悪いので、次の画像表示を行うタイミングをわざと遅らせて再生します。
左図では、1から順番に画像が表示されて行く事を表しています。1番左の図では2の位置でコマ落ちが発生しています。真中のスライド図は2の表示が間に合わなかったので3の画像が表示されるまでの間、1の画像を表示させたままにしておく処理を行いました。これにより、1の画像が表示されている時間がやや長くなりますが、再生時間的な誤差は標準の場合と同じになります。 |
モーションコンペセーション(MC)は、このコマ落ちを防ぐ(正確には目立たなくする)機能なのですが、一体どのような処理をしているのでしょうか。
上の図の一番右のスライド図がMCを使用した場合の再生を表しています。
実際にコマ落ちしてしまう2の画像は表示しません。
しかし、この方法だと全体的な再生時間が狂ってしまうのは説明した通りです。
そこで、MCはトータル再生時間が同じとなる様に、人間の目で見てほとんど分からないレベルまで再生レートを落とし(個々の画像を表示するタイミングを調整し)、同じ再生時間内にコマ落ちした分の画像をのぞく画像をまんべんなく表示できるように時間軸調整を行います。
正確に言うと、この間の(調整時間内)の動画表示は実際よりもやや遅くなっているのですが、人間の目でそれを判別するのが非常に困難なレベルまで補正してくれるので、普通に見ているかぎり全く分からなくなります。
すなわち、コマ落ちをコマ落ちと感じさせない機能がMC(動画補完)という訳です。ソフトウェアDVD再生やムービー再生にはMC対応のビデオカードとMC対応のプレーヤがおすすめです。
MCを使用した再生のイメージ
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■ MC未対応の場合 ■
MC未対応のビデオカードを使用して、DVD動画を再生させた場合のイメージです。
MCに対応していないビデオカードにはVoodooBanshee(GA-VDB16/PCI等)やS3
Triton等があります。
しかしMCに対応していなくても、2D描画が高速ならばコマ落ちしないムービー再生が行えます。
MCとは、ハードウェアデコード機能ではなく、あくまでコマ落ち等を目立たなくする(動画の不自然さを軽減する)機能であるため、必ず必要というわけではありません。 |
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■MC対応の場合
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MCに対応したビデオカードとソフトで同じムービーを再生させた場合のイメージです。
実際にコマを1枚抜いていますが、時間軸方向に1枚1枚の画像表示時間が調整されている為、ほとんど不自然さは感じられなくなります。
MCに対応したビデオカードにはS3 Savage4、Savage2000(GA-S2K32/PCI)等があります。
また、MCという名前ではありませんが、Mediamatics
Trident(MVCA)やSIS IDCT(SISI)等も同じ動画補完を行うMC機能です。 |
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コマ落ちしていない場合 ■
これがコマ落ちの無い標準の場合です。
MC機能有りの場合、無い場合とで比較してみてください。
MCが在る場合、コマを抜いても、時間軸方向に調整を入れてやるだけで、ほとんどオリジナルに近い再生ができる事がわかるはずです。
注意:このアニメ(中央の「MC対応の場合」の動画)はMCと同じ理論で製作されたGIFアニメです。
実際にMC機能が働いているわけではありませんが、MCと同じように時間方向へ個々の画像表示時間が調整されていますので、これを模した動作を再現しています。 |
MC機能のついたビデオカードには、こういった処理をビデオチップ上で行える為、ムービーのスムーズな再生が可能となるわけです。
ANIME (C)魔方陣グルグル ククリ
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