グラフィクス強化
  
 グラフィクス強化について

PC-98の強化策として、最も手軽であり、最も体感できるものと言えば、何を差し置いてもビデオカードの交換に他なりません。
2D、3D表示、DirectX等のパフォーマンスも、使用するビデオカードによって大きく左右すると言って良いでしょう。
場合によっては高速なCPUに差し替えたり、ハードディスクを高速なものに交換するよりも遥かに大きな体感速度の違いが現れます。

使用可能なビデオカードについて

PC-98は使用できるVGAカードに制限があります。
全く同じ仕様のPCIスロットであっても、BIOSの違いに関わり無く、使用できないビデオカードが大半を占めます。
デスクトップタイプのPC-98には、Cバススロットと呼ばれる拡張用スロットと、機種によってPCIバスがあります。
ノートにはノート専用の拡張バスやPCMCIAカードスロット等もありますが、ここではデスクトップに的を絞りたいと思います。

まずCバスですが、Cバスは16bitデータ転送の上、最大10M/sのデータ転送速度しか出ないので、ビデオカードの実装には適しません。
そこで、ここでは転送速度の速いPCIスロットに装着できるタイプのカードで、主たるWindowsソフトウェアを使用するにあたり、実用に耐えると思われる物をいくつか紹介します。

WGP-SF32PN(メルコ)
メルコ社のビデオカードです。
Savage4Pro+を搭載しており、事実上メルコ社が発売しているPC-98向けVGAの中では最もハイパフォーマンスなものです。
本来S3社のSavage4Pro+はMCS3(DVD再生支援機能のひとつで、動画などの処理を補正する機能)も持っているのですが、このカードは対応していません。
その代わり同じSavage4Pro+を搭載したIO-DATA社のGA-SV432/PCIと比べて安定性が高いようです。
ビデオメモリはSD-RAMで32MBytesを搭載しています。
RAMDACは300MHzです。
OpenGLには未対応
です。

GA-VDB16(IO-DATA)
3DFX社のVoodooBansheeチップを搭載したカードです。
Voodoo系チップの特徴としてDirect3Dの他にGlideに対応している点が挙げられます。
全体のパフォーマンス的にはGA-RUSH6以上WGP-SF32PN未満と言った所で、秀でて特別高速というわけでは無いようです。
発熱大きく、空間の少ないPC-98に装着し、夏場使用するとたびたびフリーズする事があるようです。画像メモリは16MBytesを搭載しています。
Savage4Pro+やSavage2000同様に2D/3D両対応チップですが、2D描画はいまいちといった所です。
OpenGLにも対応した模様です。
ベンチマークでは高い値を出します
が、テクスチャ処理や連続した異なるデータの書き込みに弱く、今回、真の描画性能を知る為一切のキャッシュを切った純粋な表示能力テストを行ってみました。
グラフィクスベンチマークで実際よりも高い値が表示される場合について詳しくはこちら


GA-RUSH6(IO-DATA)
こちらもVoodoo系チップを搭載したカードです。
画像メモリは6MBytesです。
GA-VDB16と同じく発熱が異常に高く、夏季の連続使用には課題が有ります
VoodooなのでGlideにも対応します。
こちらも2D/3D両対応のチップですが、2D表示に関してはGA-CDBより低速です。
3D対応ゲームもエレクトロニックアーツ社のモトレーサーは比較的快適に動作しますが、モトレーサー2は、やや厳しく感じました。
OpenGLには未対応
です。

GA-SV432(IO-DATA)
こちらもS3社のSavage4Pro+を搭載したカードです。
メルコ社のWGP-SF32PNと比較すると全体的なパフォーマンスに体感できるほどの違いは現れないものの、こちらはMCS3に対応しています
DVD再生で効果を発揮
しますが、特にDVDを見るためでなければWGP-SF32PNもお勧めできます。
2D描画、ムービーの再生はGA-VDB16と比較しても高速です。
画像メモリは32MBytes、こちらも300MHzのRAMDACを搭載しています。
バスマスタドライバでOpenGLにも対応しますが、PC-98においては正常な動作をしない場合が多く、OpenGLのハードウェアサポートを殺して使用するほうが無難であるようです。

GA-S2K32(IO-DATA)
現在の所、PC-98で使用できる最もハイパフォーマンスなビデオカードが、このGA-S2K32です。
S3社のSavage2000を搭載しており、Savage4Pro+搭載カードの上位カードとされています。
MCS3にも対応
しており、DVD再生支援機能も持っていますが、まだSavage2000に完全に対応した再生ソフトはあまり見ません。
OpenGLにはICDで対応
しており、ハードウェアアクセラレーションが可能となっています。
また一度に4テクスチャ処理が可能で、ハードウェアT&L(陰影処理)にも対応しているため、複数の効果を付加させて重たくなってしまう処理もストレス無くこなしてくれます。モトレーサー2やFIFA2000等を大き目の解像度で快適に実行するには必須ではないでしょうか。安定性的にはGA-SV432以上WGP-SF32PN以下といったところですが、実用範囲なので、普通に使用している限りでは特に大きな問題にはならないでしょう。
画像メモリはSD-RAMで32M、RAMDACは350MHzで動作します。
2D/3Dともに上記カードの中でも、最も高速と思われます。

アイオーデータ製ビデオカードには、カードの動作が詳細設定できるツール「ディスプレイエフェクト」が付属しています。ディスプレイエフェクトに関するドライバ設定の詳細については、
こちらに詳しい解説を掲載しておきました。

MCS3等の動画補完機能についてはこちらをご覧下さい。
   
ビデオカードの性能比較

単純に性能比と言っても、ただ高速なだけが高性能とは限りませんが、ここでは上記ビデオカードのベンチマーク計測グラフを公開いたします。
なお、ベンチマークの方法はWindows上で、他のアプリケーションが全く動作していない、かつ全てのグラフィクス支援回路を解除した条件下で、画面1杯の複数のベタ色をコード0から順番に30分間連続表示し、なん枚表示できたかによって表しています。
 

01.WAB2000/WAB1000
02.GA-1280A
03.9801標準(EGC)
04.9821標準
05.ウィンドウアクセラレータボードA
06.9821La10(VGA)
07.GA-RUSH6/PCI
08.GA-VDB16/PCI
09.WGP-SF32PN
10.Voodoo3(AGP x4)
11.GA-SV432/PCI
12.GA-S2K32/PCI

比較対照が無くては参考にならないので上記PCIグラフィクスカード以外にも、ほぼ同じ条件下で計測してみました。これら以外にも、あまりに僅差だったので掲載を省いたものがあります。
GeForce2GTSがAGP4倍モードでGA-S2K32/PCIとほぼ同等か、時にやや増減する程度。
Woody CF32(Panasonic)のオンボードビデオが6番(9821La10)と同程度でした。

なお、計測に使用した環境は以下の通りです。
Pentium(R)100MHz
DIMM 64MBytes(WoodyはSimm64M)
Windows95
計測に使用したマシンは9821Xc16,9821La10 S5/MC,Woody CF32FP IBM PL100 

  
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