HDD強化 |
![]() PC-98標準内臓のHDD(ハードディスクドライブ)はPIO(ピーアイオー)転送と呼ばれる極めて低速な方式で接続されています。 過去のハードディスクとの互換を持たせる目的と、当時PIOでも十分なアプリケーションしか存在しなかった事から後発のPC-98にも全てPIO転送を行うHDDインターフェイスが組み込まれています。 しかしながら、大きな実行ファイルや画像データを扱う様になった現在、PIO転送では十分なパフォーマンスが得られないのは必至です。 そこで、最近の高速HDDの性能を生かす事のできるインターフェイスと、愛称の良いHDDについてご紹介します。 ![]() HDDインターフェイスには大きく大別してIDE(SASI)タイプとSCSIタイプがあります。 これらはサジー、スカジーと読みます。 使用するインターフェイスによって、使用できるハードディスクも異なります。 一般的にはSCSIが上位規格で、転送速度も信頼性も上ということになっていますが、実の所、これはかなり過去の話。 ほぼ全てのリテールPCでIDEが採用されるようになり、実質転送速度もほぼ変化無しというより、UrtraIDEドライブの方がUrtraSCSIより高速である場合が多いようです。 ただ異なる点は、IDEは接続できる台数制約が狭く、接続できる機器がハードディスクやCDドライブに限定されてしまうという点でしょうか。 最もそれ以外に接続できるSCSI機器を考えてみても、さしあたりMOくらいしか思い当たらないのも事実なので特に問題にはならないでしょう。 お勧めできるPC-98用の主だったHDDインターフェイスには次のようなものがあります。全てPCIカードです。 IFC-USP-M2 メルコ SCSIドライブとIDEドライブを両方扱うことのできるコンパチ(マルチコネクト)インターフェイスです。 ただ、これに接続されるIDEドライブはSCSIとして認識され、他のIDEインターフェイスでフォーマットされたドライブを直接扱うことができません。 その逆も然りです。 またOSR2環境でも2台目のHDDの認識は最大8Gまでとなり、2台目のHDDを起動ドライブに指定することもできませんし、接続できるIDEハードディスクも最大2台です。 SCSI機器を接続し、かつIDEも生かしたい人にはお勧めですが、全体的なパフォーマンスは大きく期待できるほどではないようです。 UIDE-98(UIDE-98M) IO-DATA UrtraDMA33転送ができるカードです。UIDE-98は最大容量に制限がありましたが、カード上のBIOSを書き換えることでUIDE-98M同等とする事が可能です。 DVD再生やムービー再生にDMAは必須です。 IFC-USP-M2もDMAに対応しているので、ムービー再生時等に大きな効果が現れます。 DMAとはダイレクトメモリアクセスの略でCPUを介さずに直接ハードディスク中のデータをメモリに書き込む事のできるテクノロジです。 この為、CPU占有率も軽減され、全体的なパフォーマンスアップができるようになります。 HDDインターフェイスを選択する場合には必須項目としておいたほうが良いでしょう。 IDEドライブを最大4台まで接続でき、1台で最大32GまでのHDDを接続できます。 UIDE-66 IO-DATA UrtraDMA66転送をできるようにするHDDインターフェイスカードです。 実際に66M/sの速度を超えるリードタイムを持つ様なドライブは現在どこにもありませんので、このカードをさしておけば、大概のHDDは最高のパフォーマンスで扱う事ができます。 UrtraDMA100(ATA100)といった規格もありますが、実際HDDインターフェイスとメモリ間の速度をそこまで上げてもドライブとHDDインターフェイス間の速度の方がはるかに遅い為、体感できるはずもありません。 ベンチマークテストでも大きな差は現れていませんので、悩む必要もないでしょう(UIDE-98/ATA33とは体感できるレベルで違いが分かります)。 IDE機器を最大限生かしたいなら、このカードは間違いなくおすすめです。 また、このカードに接続されたIDEドライブも、SCSIドライブとして認識されます。 IFC-USP-M2の場合、SCSIエミュレーションなので、どういった設定にしてあってもIDEと同じ転送方式を維持したままなのですが、UIDE-66の場合、SCSIドライブの専売特許がいくつか使用可能(有効)なようです。 同期データ転送、切断等を有効にする事ができ、ハードウェアでDMAが制御されます。 このため、下手なATA100システムより快適なハードディスク環境を作る事ができるようです。 <まめ知識:同期データ転送> 内臓メモリと同期をとり、データ転送を行う。 非同期の場合より高速 <まめ知識:切断> HDDにデータの読み出し(書き込み)命令等を送り、返事が返ってくるまでの間、当該ドライブとの接続を切断し、他のドライブにアクセスする事ができるようにするもの。通常第1ドライブからデータの読み出しを行いながら、第2ドライブにそのデータをコピーする場合、まとまったデータ量単位で第1ドライブとの通信を切断し、第2ドライブにデータを書き込み、第2ドライブとの通信を切断し、第1ドライブから再びデータの読み込みを行うという処理を高速に繰り返すのですが、切断にチェックされていると読み出しながら書き込みできるため、HDDにバッファを取りながらムービー再生するようなプログラムや、大規模なバックアップ作業で極めて大きな差が生まれます。 <まめ知識:ハードウェアDMA制御> 基本的にDOS/V等で有効とされているDMAはソフトウェア制御です。 DMA自体はハードウェアですが、ソフトウェア制御のDMAコントローラにバインドされる形で動作するものが主流です。 大きな変化はありませんが、このDMAコントローラごとハードウェア制御にすることにより、若干のパフォーマンスアップとCPUに対する負荷が軽減できます。 ハードウェアでDMAコントロールされている場合、ハードディスクのプロパティ画面にDMAチェックボックスがありませんが、DMAは有効に働いています。 ![]() PC-98標準IFやUIDE、IFC-USP-M2で使用するならMaxtor製のドライブか、IBM製のドライブが一番お勧めです。 相性も抜群で特に音が静かです。 回転数は5400rpmか7200rpmのものを選ぶと良いでしょう。 ただ7200rpmはかなり五月蝿い上、発熱や電力消費も激しく、特にCPUの上にHDDを固定するタイプのPC-98の場合は厳しいものがあるそうです。 そういった意味では5400rpmのものを選んでおいたほうが無難かもしれません。 逆に相性の悪いドライブとして定評があるのはウエスタンデジタル製です。 初期のPC-98標準で搭載されていながら、後発のマシンとの相性はいまいちのようです。 容量は20〜30G程度のものを選ぶと良いでしょう。 1プラッタ(1枚のディスク)で20Gを実現しているドライブが多いので、20G超のドライブであれば、最も記録密度が高いという事になり、アクセスタイムも高速であるということになります。下手にシークタイムが高速なドライブや回転数の異常に高いだけのドライブより、快適な動作をする事が多いようなので、HDDを選ぶ際には、このあたりを基準にすると外れがないかもしれません。 |