286/386マシンでもWindowsを!
   
Windows95の稼動に必要なもの

PC-9801RAおよびDAにはi386(80386)と呼ばれる最も初期の32BitCPUが搭載されています。
32Bitアプリケーションも動作できる筈なので単純にWindowsも動作できるのではないかと考えられた方も少なからずみえる事と思います。
しかしながらWindows3.1ならいざしらず32Bitであっても、256色以上の環境と486CPUを必須とするWindows95をセットアップするには厳しい環境と言えます。

RXやDA等の9801系コンピュータでWindowsを動作させる為には、次のパーツが必須です。

 ・486アクセラレータ
(無くてもWindowsのセットアップオプションでCPUチェックを飛ばす事により、インストールは可能ですが、動作が非常に遅く、実用できませんので、アクセラレータは必須条件です。)
 ・8M以上のメモリ
ここでいうメモリとはプロテクトメモリの事です。Cバスに挿すタイプのEMS専用メモリボード等はメモリ数に含まれません。
 ・ウィンドウアクセラレータ
多くの9801は最大同時発色数16色です。
Windowsは256色以上を必須とし、VGA以上の解像度(640x480)が表示できる事が前提となっている為、これも必須です。
16色(640x400)ドットのままセットアップを行う事も可能ですが、非常に使いにくい為、洒落でセットアップする以外はお勧めしません。
 ・後期型キーボード
ドライバとの相性問題で、初期型RA等に付属のキーボードは正常に動作しません。
RA21/51またはFA等に付属のキーボードを別途準備する必要があります。
 ・SCSI-IF
どんなものでも構いませんが比較的高速なものほど理想です。
 ・512セクタ長が確保できるハードディスク
IDEボードをCバスに挿すという手もありますが、SCSIタイプの内臓または外付けを使用されるのが適当と思われます。
RA51等に内臓されているSASI-HDDや100M程度のHDDは容量および実用面から使用できません。
 ・VGA以上の解像度が表示でき、且つ9801に対応したディスプレイ
NEC MultiSinc15等がおすすめです。

※旧9801でWindowsを動作させようと考えた場合、以上の物が必ず必要となります。


あった方が良い物

Windows95を運用する上で、次の周辺機器等があると便利です。

・外付けCD-ROM
多くの9801には5’ベイがありませんので、外付けできるSCSI-CDドライブがあると便利です。

・マウス
ほとんど必須です。あると大変に便利です。

・高速なHDDインターフェイスボード
当たり前ですが、Windowsを常用される場合はSCSI-1では満足な速度が得られません。
最低SCSI-2以上、可能であればSMIT転送が行えるIFの実装をお勧めします。
メルコ製ならIFN-NSやIFC-NN等が対応していますが、最も後発のIFC-NNであれば8Gを越えるHDDの増設が可能となりますので、できればこれをお勧めしておきます。

・Windowsに対応した後期仕様のCバスサウンドボード
具体的にはPC-9801-118や、QVisionのWaveStar等がお勧めです。
特にDOS窓でFM音源を扱えるWaveStarはDOSでもWindowsでも非常に使い勝手が良く、MIDIドーターボード(サブボード)の取り付けも出来るため、SoundBlaster用のMIDI音源サブボードがあれば、MIDI機能も追加する事ができます。

・複合ボード
中には数少ないCバスを最大限生かす為に、様々な機能が複合されたボードがあります。
メルコWSN-DX(PCM+GA)や、QVision WaveSMIT等がそれです。
特にWaveSMITは(ROMが後発のものであれば)8Gを超えるSCSIに対応し、SMIT転送が行える上、WaveStarの全機能を包囲している素晴らしい拡張ボードなので、手に入るなら是非入手しておきたい所です。
もちろんWaveSMITにもMIDIドーターボードが増設可能です。
PCM機能の無いWSN-DX(WGN-DX型番)とWaveSMITの組み合わせれば、DMAチャンネルが重なる事も無く、Cバススロット2つ埋めるだけで、随分と快適な環境にする事ができます。

CPUアクセラレータの種類と性能

i386用CPUアクセラレータで有名なものには次のような製品があります。
アイ・オーデータ社のPK-A486シリーズです。
左の製品は「PK-A486DW-2」です。
この製品は386CPU上位互換のi486DLCと呼ばれるCPUを搭載しており、内部に1Kのキャッシュを持っています。Cyrix社の開発したCx486DLCも内容は同じです。
同時期に80286(i286)マシン用にCx486SLCを搭載したPC-9801RX/DX向けアクセラレータも発売されています。これを使用する事で286マシンを486化する事も可能です。

強いて言えばRXやDX等の286マシンにも、ほぼ同様の手段でWindows95をセットアップ可能です。
ただしリセット直後はOSが286CPUと判断してしまうので、HSB等のフリーウェアを使用してセットアップをごまかしてやる必要があります。

386の場合Cx486DLC単体でも、ピン互換の為、ダイレクトに載せられますが、486DLC系CPUを採用されるならクロックアップに対応した製品の使用をお勧めします。
こうしたCPUアクセラレータの中でPC-98再強化計画が一番お勧めするのがメルコ社の開発したハイパーメモリCPUと呼ばれる製品です。
この製品にはintel社またはAMD社の5x86と呼ばれるCPUが搭載されています。
5x86は486互換のCPUの中では最上位に位置するCPUです。
左の製品(EUD-HP0M)に搭載されているAm5x86P75は120MHzで稼動する設計になっています。
末型番のP75はPentium75MHz相当品という意味です。

また、このアクセラレータには本体の最大搭載メモリの上限を超えてメモリを搭載する為の専用メモリスロットが装備されています。
そこに専用メモリ(メルコ社のENLシリーズ)を搭載する事によって、DAでは最大約80M程度まで内部メモリを増設する事が可能となります。

ハイパーメモリCPUは、RA/DA以外でもF、Bシリーズ用も発売されています。
さらに、EUD-HP0Mは簡単な改造で手軽にクロックアップを行う事が出来るようになっています。
左図、基盤裏面のメルコチップのすぐ左にある「R118」というパターンをハンダ等でショートすることによって、最大160MHzで稼動させる事ができるようになります。
ベンチマークによると、Pentium120MHz〜130MHz相当、マシンで言うと無改造の9821Xa12、V12級のCPUパワーが得られる計算になります。

PCIが無くCバスグラフィックボードに頼るしか手段が無い事などを考えなければ、これらのマシンとほぼ同等の環境が手に入る事になるわけですから、実に素晴らしい製品です。

ただ、現在はもちろん生産しておらず、中古市場でも中々見つからず、見つかっても非常に高価な製品の為、入手は困難を極めます。

マザーボードのベースクロックを上げるという手段もありますが、ベースクロックを参照して動作するキーボードやシリアルバス等に弊害が現れるなど、あまり良い結果は得られません。
またそういった周辺機器に元のクロックを与え、純粋にベースクロックのみを引き上げる改造も行えないではないですが、こちらの場合も一部の周辺機器が正常に動作しなくなるなどの様々な弊害が発生しますので、あまりお勧め致しません。
現在のところ、EUD-HP0Mのオーバークロック160MHz化済のアクセラレータに32MのENLメモリを2枚(64M)増設して使用するのが最もベターでベストパフォーマンスが得られるかと思われます。


ウィンドウアクセラレータ

ウィンドウアクセラレータにも様々な種類がありますが、拡張しなければならない点が満載であるため、Cバスとはいえ貴重になってきます。そこで、ウィンドウアクセラレータもSCSIと組み合わさった製品、音源と組み合わさった製品など、貴重な資源を有効に使用できるウィンドウアクセラレータを選択しましょう。
そこでお勧めはメルコ社のWSNシリーズ、またはWSRシリーズのウィンドウアクセラレータです。このアクセラレータにはCirrusLogic社またはS3社のチップが採用されており、フルカラー表示1024×768ドット表示が可能で、48KHzのWaveが再生できる音源を内蔵しています。

左図はメルコ社のWSN-V2と呼ばれるWindowアクセラレータです。
基板上にスピーカーを搭載しており、外部スピーカーを必要とすることなく、Wave再生が行えます。
個人的にはこのアクセラレータよりも、同じWAVE音源を搭載したウィンドウアクセラレータ「WSR−E」の方が若干お勧めです。
というのはメルコ社が最も初期に開発した国産としては格安のウィンドウアクセラレータ(当時1万ちょっと)のWAB−Sとハードウェア的に互換性があるからです。性能的には左のWSN-V2の方が良いのですが、実際にCバス接続では十分な性能が発揮できません。

WSR-E(WAB-S)はWindows以外のアプリケーションにも対応製品が多く、9801で使用する事を前提と考えた場合、勝手が良いからです。9821用SIMCITY2000やアリスソフトの256色ゲームなどもWSR-E対応が謳われています。またDOSのフルカラーペイントソフト「まるぺ」等も対応しており、幅広い使い方が出来ます。

ただしWindowsオンリーでの使用を考慮した場合、力不足の感は否めません。Cバスを使用するVGAカードで比較的高速な物にはメルコ社WGN-DX2/4、IO-DATA GA-DRV4、カノープス PowerWindow801/968等があります。

WSN内臓音源はPC-9801-86(86ボード)のPCMと互換性が無い為か、対応ソフトは少ないのですが、こちらもWindowsで使用するものと考えれば十分実用に耐える性能を持っています。

実際の所、Cバス最強と言われているのはカノープスPowerWindow968です。
しかしながら用途に応じて他のグラフィックアクセラレータの方が高速である場合もあります。
Cバスは16BITで動作しているので転送速度の限界が低く、一定以上の速度は出せません。
後はドライバ等のチューニング次第となりますが、カノープスの場合VRAM to VRAM転送速度が他のGAの1.6倍程度高速に行える事から、GAベンチマーク等で他のアクセラレータの倍近くの値が出る場合がある為、これを根拠に事実上最強と言われています。
(カノープスの優れたドライバチューニング技術をもって「かのぷ〜ちゅ〜ん」といった造語まで生まれた程です。)

しかしながら実際の所、Windowsアプリを使用している最中にVRAM間転送を行う事は少なく、実際に使用してみると、体感速度的にはWGN比にして気持ち速い位に留まっています。
ウィンドウの移動等が多少速くなるだけと考えた方が良いかもしれません。DirectDrawに関してはWGN-DX2/4等の方が高速である場合が多いようです。
またPowerWindow968の標準環境ではVRAMが2Mしか無い事から、解像度1024×768等で常用する場合、VRAM間転送がいくら高速でも大きな意味を持たなくなってしまいます。
幸いにPowerWindow968はVRAMの増設が行えるので、もしこれを使用される場合は2M分の増設を強くお勧めします。4Mにできる場合はPowerWindow968が最も望ましいのですが、それが適わない場、コストパフォーマンス等も考慮するとGA-DRV4またはWGN(WSN)-DXシリーズを使われた方が断然良いでしょう。
ただし、GA-DRV4はDirectDrawがとんでもなく遅い為、ゲーム中心で使用される場合は間違いなくWGN(WSN)-DXの使用をお勧めします。
最も9821ではPCIでのGA増設が主力となってしまっている現実を見てCバスのGA速度比について検証していますので、比較的後発のCバスGAに関しては大きな差が感じられないのが現実ですが、10MそこそこしかでないCバスにGAを増設するのですから少しでも速い物を搭載するのが一番望ましいはずです。

ただ、PowerWindow968に関してだけ見ると、CバスGA最強という点で性能こそ折り紙付ですが中古相場が洒落の様に高額で、価格と性能が比例すると考えた場合、これほどコストパフォーマンスに乏しい商品も珍しいです。
元々ロット数が少なく、定価も非常に高額であり、さらに受注生産で、そのほとんどは一部の企業しか購入しなかった為、その流れ品しか出回っていないという事で現在も究極のレア品として珍重されています。
そういった事情を踏まえ、物が無い上に最後発最強ということで取引値が高額になってしまうのは仕方の無い事かもしれません。
98使いとしては見つけたら愛娘を里子に出しても1つは手に入れたい一品ですが、前述の通り性能と価格が比例するものと考えた場合、WSN系を選択するのも賢い方法と呼べるでしょう。
価格が10倍でも性能が10倍になる訳ではありませんので。

  WAB-S
WSR-E
WAB-1000
WAB-2000
GA-1024
GA-1280等
WGN(WSN)V
PW801
GA-DRV等
WGN(WSN)DX PowerWindow968
DOS × ×
Win
Winゲーム ×
中古相場 1〜2,000前後 4,000前後 5〜6,000前後 安ければ2,0000前後
高ければ50,000を超える場合も
DirectDraw ×
VRAM 2M以下 2〜4M
モデルに応じて
2〜4M
モデルに応じて
2〜4M
標準2M 増設ボードで +2M
拡張性 CD-ROMアダプタ等 Mpeg対応可 FM音源追加可 ビデオメモリ増設

PC-9801-86互換のWaveStarやWaveStar+SMIT SCSIボードのWaveSMITを使用する場合、IRQは足りるもののDMAチャンネルが確保できませんのでWSNではなくWGNを選択する必要があります。

LANカード、SCSI、ウィンドウアクセラレータ、TVチューナ、キャプチャ等のCバス拡張ボードを探されている方はご連絡下さい。
お譲りできるものがあれば、ご相談に応じます。

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